それわた

それがわたしにとってなんだというのでしょう、な雲吐き女のつれづれ

晩婚と叫んだ占い師に5千円あげたい

 人生の岐路に立たされている。と、いうほどもしかしたら大げさなものではないのかもしれないが、ワタクシ的ベスト5に入る勢いで、選択を迫られている。彼氏だ。

 前述のとおり、わたしにあまり興味のない彼氏で、5年間(5年間!長!怖!!!)いろいろと野放図にさせていただいていたのだが(クリスマスや誕生日など、お祝いごとを彼氏と過ごさなくてもよかったのは非常にありがたかった)、この度彼がなんと地方異動となったのだ。場所は仙台。いや仙台?まあ、これまでも1ヶ月に一度しか会ってなかったしね。それが1.5ヶ月とか、2ヶ月になるだけでしょう?と、知った直後は動揺したものの、さらーっと、そりゃもうコットン100%くらいの肌触りでスルーしていたわけなのだけど。

 彼氏の盛り上がり方がすごい。

 いつものように、11月12月も友だちと遊ぶ予定やら北村さんやDISH//(きゃっ♡)さま方との予定で割と埋まってたわけなんですが、彼氏のスネ爆発。仕方ないから埋まってた11月も1日解放したし、埋める気満々だった12月も、彼氏の「じゃあその日曜日全部俺にちょうだい?」の一言で持っていかれちまった。今つくった自分の分の作物根こそぎ持っていかれた小作人の気持ち。

 いやいやいやいやいやいやいや。今まで1週間以上前に予定聞いてきたことあった????「全部俺にちょうだい?」どころか、2週続けて会ったことなんか、5年付き合っててたぶん3回とかしかないよね。どんだけ盛り上がってんの。11月のデートなんか、前週(昨日)LINEしてきて「どこ行こうか」「車出そうか」って。その日の朝決めることしばしば、いつぞやのクリスマスなんかディナーする場所決まってないっつって二人でいろんなレストランに鬼電したよね、え、知らない間に別人に入れ替わった??

 そんで「5年になりました。これからもよろしくお願いします」だって。今まで記念日なんか祝うどころか口にすらしてこなかったのに。あれは付き合って半年、うら若き19歳のわたしが連絡したとき超塩対応で、「あ、このひとはこういうの苦手なんだな。気をつけよう」って思ってこれまで祝いたいとか言わなかったわたしカワイソウ。思えば5年、ずっとずっと気を遣ってきたな。

 今まで「いて当たり前」だった彼女が、俺に背くことがないと思っていた彼女が(いやまあ背いてなかったかと言えばmmm…って感じですがおそらく彼はそう思っていたはず。わたしは女優なので)、物理的に離れることで手の届く範囲から外れるのが怖いんだろうね。付き合って3年めくらいまでは「このひとが嫌だって言ってきたら、男と1対1で遊ぶのとか誕生日祝ってもらいに行くのとかやめよう」って思ってたけど、4年めとかは「一旦人間関係を整理しよう。男断ち」とか言ってたけど、5年めのわたしはついにすきなひとできてしまったよ。コミックデイズで恋のツキを読んでは(わかる……)と電車であご外れそうな勢いで頷きまくっているよ。今さら惜しくなったところでもう遅いよ。わたしはあなたに興味がなくなってしまった。なぜかって、自分をすきではないひとのことがすきだったから。なんで5年も続いているんだろうって自分でも疑問に思ってたけど、わたしに興味がなくて、よそからときめきを輸入しても違法じゃなかったからだな。

 だからはっきり言って、今のあなたのことは1mmもすきじゃない、興味がない。男としての魅力がない(まあそれはもともとだけど)。「二人のしあわせ」が担保されるならいいでしょと言い訳して、他の男からの連絡を待っている女が何言ってもお互い様って感じだろうけどさ。でもわたしは5年間我慢してきたんだよ。理解してることすらわからないフリして、猫かぶってきたの。裏でどんなずるいことしても噯にも出さずにあなたの前ではいつでもあなたのことをだいすきなかわいい彼女をやってきたの。泣いたりしてないでしょ、面倒くさいから。怒ってないでしょ、どうでもよかったの。だってわたしはほかから恋を調達しているから、あなたがわたしを愛さなくたって、生きていけたの。あなたがわたしを愛さなかったから、生きていけたの。

 今更すきだなんて言わないで。愛さないで、こっちを見ないで。わたしの自由な悪事が陽の下にさらされて、きっとあなたに嫌われてしまうから。わたしのことを愛さなければ、嫌いにもならないでしょう。あなたのことを愛している代わりに、嫌いなわたしは、どうしたらいいですか。

 来週の日曜日、企画が下手なわりにサプライズがすきなあなたが、急に小さな箱を眼前に取り出してこないか、それだけを心配している。どうか中身が赤い付箋でありますように。